「若先生、いや。今は新撰組局長か」

「若先生、いや。今は新撰組局長か」

「若先生、いや。今は新撰組局長か」

「昔のままでいいですよ」

近藤は小さく笑った。

ここだけは何も変わらず昔のままでいてほしい。

「じゃあ若先生。これ、親父さんが勇が来たときに渡してくれって」

胸元から紙を出した。

おそらく遺書だ。

近藤は受けとると周りを見回した。土方と目が合う。【拆解生髮】不要讓生髮藥傷害了你?! 淺談生髮方法優缺點 - 顯赫植髮

読んでくれ。

あぁ。泣いてしまったらどうしよう。と思いながらも近藤は頷いた。

「読むぞ」

ゴクリと唾を呑む音が聞こえた。

近藤は紙を開いた。

「我が息子へ。

元気にやってるか?

歳には迷惑掛けてねぇか?」

書き出しから既に遺書と言うより手紙に近い。

近藤は土方を見ると苦笑いした。

土方は続きを促すように顎を向けた。

「お前がこれを見る頃には俺はいない。

遺産なんてないぞ。なんせ貧乏道場だからな。

遺書なんて書く気はなかったが書いてみた。

後世に俺の武勇伝を残すためだ。まず、俺は9人の女と結婚して…」

近藤は続きを目で見るとうんざりしたような目で遺書を土方に渡した。

そこにはひたすら自慢話が綴られていた。

「ぶっ!流石だあのじいさん!こんなの遺書じゃねぇ!」

原田がついつい吹き出した。

「なんだこりゃ!じいさんちょいと話でかくしてるじゃねぇか!」

永倉もそれに続く。

近藤は恥ずかしそうに俯いていた。悲しい気持ちなんて吹っ飛んでしまった。

いいお父さんだと思うけどな。ちょっと濃いけど。

しばらく遺書を読んでいた彼らだが土方が何かに気付いて近藤を手招きして呼んだ。

そして遺書の最後の方の一文を指す。

“お前の貫きたいこと、しっかりやれよ。信念だけは曲げんなよ!馬鹿息子!”

一瞬固まってしまった。

なんだよ。馬鹿息子って。

そっか。『息子』か。

なんとも彼らしい書き方に近藤は思わず笑みを洩らして何度も頷いた。

美海も会ったことはないが、なんとなく人物像が浮かんだ。

きっととても面白くて、強くて、優しい人だったんだろう。

「美海さん」

急に沖田に声を掛けられ、美海は肩を上げた。

「なんですか?」

「師範は、とてもとても、素晴らしい人でしたよ」

「はい」

「とてもとても、優しい人でしたよ」

「はい」

「会わせてあげたかったなぁ」

沖田は空を見上げながら呟いた。

できることなら会ってみたかった。でも、わかりきったことだが、故人にはどうやっても会うことはできないのだ。

私は、親孝行、できたかなぁ?

今頃、どうしてるのだろう。

何故か今さらふと、両親のことを思い出した。

あれから数時間が経った。

今は佐藤の宿屋を貸し切りにして新撰組がいる。

笑ってはいたものの、尊敬すべき師が死んでいたのだ。

雰囲気が暗い。

宿屋といってもかなり部屋数があるわけではない。

幹部は幹部で一部屋だ。各自隅に座って呆然としている。

ショックも大きいが、膨大な疲れが溜まっていることもまた事実だ。

突然沖田が立ち上がった。

「「?」」

美海と市村は顔を見合わせる。市村は土方の小姓であり、歳が幼いため幹部と同室だ。

ちなみに近藤、土方は一部屋ずつあり、土方の部屋は隣だ。

「…………」

沖田はそのまま襖に進むと布団を引きずり下ろした。

綺麗に布団を敷くとパタリと布団に入って目を瞑った。全く動かない。どうやら眠かったらしい。

「「「…………」」」

それを見た他の幹部もムクリと起き上がり、布団を引きずり下ろした。

5分立たない間に部屋は布団に寝静まる彼らと規則正しい寝息が聞こえてきた。

余程疲れていたのか、安心して眠れるからなのか、沖田同様、死んだように動かなくなった。

コソッ

「大丈夫なんでしょうか?」

「さぁ?」

「先輩は眠くないんですか?」

「鉄くんこそ」

「ちょっと眠いけどなんだかまだ寝たくないです」

「なんで?」

フッ

美海は寝ている彼らを気づかって部屋の灯籠を消した。

「あまりに平和だから。もう少しボーッと起きていたくて」

市村は少し開いた格子の隙間から空を見上げた。まだほんのり夕陽が残っている。

「そっか…」

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